第2章 Chapter 1
(さて、コアはどこでしょうか)
コアとは、アーストの生命活動の源。人間の心臓のようなもので、そのコアを的確に破壊することにより、アーストは完全停止。肉体は灰のような粒子となり、跡形もなく綺麗に消える。
コアはアーストなら必ず持っているもので、ある場所はアーストによって違う。
このアーストのコアは右手の甲にあった。
「さっさと終わらせてもらいますよ」
剣を握り直し、切っ先を相手に向けて構える。
(コアまでの距離約3メートル、風の抵抗は無し。スピードは一見して私のほうが上。……一撃で決めます)
アンベルがアーストへ一歩踏み出そうとしたときだ。
「先生……?」
耳に少女のか細い声が聞こえてきた。
(………!?)
踏み出そうとしていた足を止め、声のしたほうへ顔を向ける。
「…ひっ」
アーストを見つけた少女は小さな悲鳴を上げ、その顔に僅な恐怖を浮かべた。
「リヴァ・スターラー!早く逃げなさい!!」
(どうして彼女がここに!?動かないでと言ったのに……)
アンベルの叫びは耳に届いている。
でも、思うように足が動かない。
アーストがそんなリヴァを視界に捉えた。
(マズイっ!)
アンベルが慌てて駆け出すも、アーストの手は既にリヴァに伸びていた。
間に合わない
アンベルは瞬間的にそう悟った。