第2章 Chapter 1
「いやーようこそ、我がディファクター養成学校へ。まさか本物のディファクターがうちに講師に来てくださるとは」
「こちらも任務ですから。指導はそのついでですよ」
少し太めの校長に案内されながら、
ディファクター第一級闘員、第二部隊司令長:アンベルは学校内を散策していた。
総司令から連絡があったのは先週のこと。
「アーストが度々ディファクター養成学校の近くで目撃されているそうだ。直ちに調査せよ」
大きなモニターに映し出された総司令との通信は、そう言い終わるとプツリと切れた。
アーストとは人間に害をなす地球外生命のことだ。
ある時地球にやってきて、ここ数年で急激に増えた。
たくさんの被害報告に、政府が打ち立てた政策が
対アースト特殊部隊ディファクターだった。
ディファクターは優れた運動神経や特殊な能力を持ったものたちの集まりで、日々アースト討伐のために働いている。
そんななかでも特別優れたものたちは第一級闘員の称号を与えられる。
この称号は、そう簡単に手に入るものではなく
全1000人を越すディファクターたちのなかで第一級闘員は、わずか5人しかいない。
そのうちの一人、アンベルは何故だか嫌な予感がしていた。
比較的楽そうな仕事。
だが今回だけは、自分が行きますという隊員を制して
「いえ、この任務は私が受けるとしましょう」
そう言って今ここにいる。