第1章 Prologue
そよそよと風が木々を揺らす。
その木陰で本を読んでいたリヴァ・スターラーは、自分が思わず眠ってしまっていたことに気がついた。
さっきまで昼休みで騒がしかった校庭は、人の気配が消え、静まり返っている。
リヴァは本を抱えて立ち上がった。
校舎に入ると、まだ授業の前だったらしく
廊下で戯れている生徒が目につく。
友達とふざけあっている人。
恋人と見つめあってる人。
鏡で身だしなみを整えている人。
「うわ、最悪。今日の髪メッチャ乱れてる」
「私も~……」
一生懸命鏡とにらめっこしている彼女たちを見て、
リヴァは
……そういえば、
もう何年も自分の姿を見ていない
そう思った。