第1章 プレゼントを贈ろう!
ナナシに異常な執着を見せるエルヴィンに『ナナシ』ごと、
ポンッ!とあげられれば一番良かったのかもしれないが、
本人の合意も得ずそれも出来ない。
(数人掛かりで襲い掛かっても返り討ちに遭う)
苦肉の策として考え出されたのが、
ナナシが使った物をエルヴィンにあげることだった。
どうやらモブリットとリヴァイ班は、
ナナシに土下座して頼み込んだらしい・・・。
全く良く出来た部下だと素直に思ってしまう。
エルヴィンは親指を立ててハンジに
「グッジョブ☆」と笑顔を向け、
ナナシの着物に顔を埋めた。
ナナシの肌が直にこの布に擦れたかと思うと、
それだけで欲情してしまう。
満面の笑みで着物に頬ずりするエルヴィンに、
ハンジは若干引きながら「実はね・・・」と言い辛そうに付け足した。
「モブリットとリヴァイ班はナナシの許可を得たけど・・・・
あたしのは洗濯されて干してあったのをぶんどってきたから、
見つかったら多分タダじゃ済まないと思う・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
そんなものを誕生日プレゼントとして寄越すな!と怒れば良いのか、
そうまでして危険を冒しエルヴィンに着物を渡した事を褒めてやれば良いのか
逡巡したが、要は見つからなければ良いのだと結論付けて、
エルヴィンはハンジに口止めを行った。
折角貰ったものなのに、ナナシにバレて取り返されては堪らない。
「正直言えば・・・下着もセットで欲しかったんだが・・・・」
変態丸出しで本音を暴露すると、ハンジは眉をハの字にさせて
「それ・・・リヴァイとミケがチャレンジしてたけど、
ガード硬くて投げ飛ばされてたよ」
と言ったので、エルヴィンはこれ以上贅沢を言わない選択を選んだ。
あの二人が挑んでダメなら手に入らないだろう。
関節を外されてボコられた経験のあるエルヴィンは学習能力に従い、
諦める決断を下した。