第1章 プレゼントを贈ろう!
「エルヴィーンっ!!お誕生日おめでとう~!」
次に来たのは、
何かから逃げるように走ってきたと思われるハンジだった。
その腕の中には白い布っぽいものが抱えられていて、
エルヴィンは思わず額に手を当て溜息を吐く。
「先程から一体何なんだ?皆口を揃えて
『団長が喜びそうなもの』と言っているが・・・・」
「あー・・・やっぱ皆言っていないんだ~」
ハンジは言葉を濁しながら、
抱えていた布をエルヴィンに渡して
「これを見てもそう言える?」と笑った。
どうやらエルヴィンがただの白い布と思っていた物は
『人が着るもの』のようで、その変わった形に覚えがあり過ぎて息を呑む。
これは東洋の民族衣装で『着物』と言った筈だ。
しかも、これを着ている人物はエルヴィンの周囲で
一人しか心当りがない。
「・・・・・・・・・これは、まさかナナシの?」
「あったり~!いや~苦労したんだよ~手に入れるの。
下手なもの上げたら換金されちゃうだろうし、
それほど喜ばないだろうしって頭悩ませてさ~」
そこでやっとエルヴィンは
モブリットやリヴァイ班の挙動不審っぷりと言葉に合点がいく。
エルヴィンが喜ぶ物といったら、
壁外調査のための資金や物資だが・・・
それは団長として欲しいものであってエルヴィン個人が
欲しいものではない。
エルヴィンが眼の色を変えて欲しがる物と言ったら
『ナナシ』だった。