第1章 プレゼントを贈ろう!
「団長、お誕生日おめでとうございます」
エルヴィンが執務室で仕事をしていると
モブリットがやってきて、言葉と共に小さな箱を差し出してきた。
モブリットが緊張気味に
「僭越ながらいつもお世話になっていますので
誕生日プレゼントを用意してみました」
と言ってきたので、エルヴィンはそれも笑顔で受け取る。
むしろ、いつもハンジがお世話になっていてすまないねと
心の中で思っていたが、ここでそれを言うのも何だったので
お礼の言葉だけを口にした。
すると、彼は視線を彷徨わせた後、
意を決したようにエルヴィンへ告げた。
「普通に団長が喜んでくれる物がわからなかったので
・・・・喜んで頂けそうな『ハンカチ』を贈らせて頂きました」
そう言うとモブリットは逃げるように執務室を後にした。
残されたエルヴィンはポカンと口を開け呆ける。
モブリットは一体どうしたのだろうか?
『喜んで頂けそうなハンカチ』とは何だろう?と思って、
モブリットから貰った箱を開けてみると、
何の変哲もない白いハンカチが一枚入っていて、
エルヴィンは首を傾げた。
モブリットの珍しい奇行を不思議に思いつつ書類仕事をしていると、
次々誕生日を祝う兵士がやってきてエルヴィンは笑顔でそれを迎えた。