第2章 クレイジー・ストームが来る前に
しゅと風を切る音がしたかと、思えば次にはすぐ間近くで声がした。
いつの間にか、傍には年上の青年がいる。
私の隣に立ち方で私の腰、もう一方の手で肩を支えていた。
???「俺のこの美しい顔がわからなくなるなんて、そんなに俺って眩しいかいダンプティ」
ダンプティ「ははは、面白いな、すごく面白い。 不気味で最高だハンプティ」
ダンプイが楽しくて、たまらない顔で呼び掛ける。
アリス「離してよ」
ハンプティ「ああ、照れなくてもいいんだよ。 美しい卵の俺を見て」
照れていない、キスをされそうな近さだ。
???「おい! 何をしてるんだお前ら!」
エリオットの声だ助かった。
三月ウサギエリオット・マーチ。
帽子屋屋敷ファミリーのナンバーツーでボスの腹心。
白うさぎのペーターと同じくうさぎ耳を持つ持主。
性格は短気で、三秒も考えず銃を撃つ短気なうさぎさん。
エリオット「おい! ハンプティそいつをさっさと離せ」
ドスの利いた声で言いながら、歩いて来てハンプティの肩を掴んでようやく解放された。
エリオット「こいつはブラットが気に入ってる、余所者だ! 何をしようとしてた!」
ハンプティ「誤解だよエリオット。 その子はボスのお気に入りでもあるんだ、俺達だって弁えているさ」
私はエリオットの手首を掴んで言う。
アリス「お茶をエリオットとしに来たの、行きましょう」
エリオット「あぁ」
引っ張ると困ったような顔で言う。
エリオット「分かったから引っ張るなよ」
大人数が座れる椅子と、テーブルが置いてある庭先まで行く。
椅子に座ると、役なしの人がにんじんのお菓子と紅茶を持ってくる。
役なしたちが去ると、エリオットは私を申し訳なさそうな顔でみる。
アリス「どうしたの? お腹でも痛いの?」
エリオット「あぁ、お腹は痛くはない。 ただ遅くなってごめん。 ナイトメアが今は助けられない状況で、俺が代わりに助けなきゃと分かってはいた本当にごめん」
エリオットは私がナイトメアと、恋人同士だって知っていた。
ナイトメアと親しいエリオットは、話を聞いてくれる友人。