第18章 夏までのカウントダウン
昼休み、空き教室を使っての会議が始まった。部の部長と副部長、マネが集まり、総勢7人での会議。ちなみに、応援団部は男子側の部長の私と、女子側の部長の山田さんが代表だ。
机を向かい合わせにし、それぞれ昼食を持ってきての会議となる。
「野球部側からの頼みなんだが、応援歌を今から増やしてもらうことは可能か?」
結城先輩の質問に、吹奏楽部が答える。
「ものによりますね。うちの学校は選手一人一人に応援歌をつけてますけど、次の一軍昇格試験を待ってからでは間に合わないです」
「哲。今のうちに一軍に入りそうな新規メンバーはいるっけか?」
「……1年の降谷だな」
「じゃあ、その1年生の分くらいなら楽譜を揃えたらできるわ。応援団の方は?」
私は山田さんにぺこりと頭を下げ、全意見を任せることにした。
「じょ、女子応援団は大丈夫です! 既存の曲は全てできますし、新規が1曲入っても問題ないです」
「男子応援団も同じくです。1年も覚えが早いですし」
「……じゃあ、曲の方はこちらで練ってくる。極力、今週中には伝えられるようにしよう」
部長と副部長の集まりなだけあり、少しピリッとした空気。
「結城君、伊佐敷君、応援してるわよ」
その言葉を発したのは、吹部の部長さん。
(そっか、吹部の部長も3年生。3年間、ずっと応援し続けてきたんだ)
「ああ、今年は今まで以上に手応えを感じている。今度こそ、みんなであの舞台に行こう」
結城先輩の力強い瞳。
(そうだよ、今年のウチは強い。……行ける、甲子園へ)
会議が終わって教室を出ると、そこには1年の沢村君の姿が。
「あれ、沢村君? こんなところでどうしたの?」
なんだか気難しそうな様子の沢村君。
「木下先輩! 俺の持ち味って何ですか?!」
「……その質問に至るまでの経緯を教えてくれるかな?」
最近、沢村君は2軍でクリス先輩とバッテリーを組んでいるようだ。その時に、クリス先輩から降谷君のような豪速球も、丹波さんのようなカーブも投げられない沢村君に、自身の持ち味は何かと問うたらしい。
(また難しいことを聞くなあ。私、野球部員でもないんだけど……)
「沢村君は元気なところがいいかな。あと、投げてくるボールが私にとっては面白いかも」
これは、あの時キャッチボールした時に感じたことね。