第27章 エピローグ
「よーいちおじちゃん、ばいばーい!!」
「誰がおじちゃんだ! お兄さんって呼べ!!」
「おじちゃんおじちゃん!」
「こーら! 莉奈! 失礼でしょ!」
倉持に生意気な口をきく娘、莉奈に叱りつける。
「まあ、そう怒んなくてもいいだろ」
倉持がニカっと笑うと莉奈も嬉しそうに笑う。
「ほんと、ありがとね。昼の間、倉持が莉奈の面倒をみてくれてたおかげで女子会楽しめたよ!」
「青道時代のチアの友達だっけか? 楽しめたなら何よりだ」
「いつもごめんね。莉奈もすっかり倉持に懐いちゃって……」
今日は土曜日。世間一般ではお休みの日だけど、うちの旦那さんはそうはいかない。
「んじゃ、俺はここで」
「待って、何かお礼しなきゃ」
「俺も莉奈と楽しく遊べたから気にすんな! また何かあったら言ってくれよ」
「ほんと、ありがとう! 気をつけてねー」
私は26歳になった。娘の莉奈は4歳。兄弟はまだいない。
倉持は私たちが忙しい時、莉奈の面倒をみてくれる大切な友人だ。
「ママぁ、パパはー?」
おさげの髪を揺らし、目をこすりながら聞いてくる莉奈。
「もうちょっとで帰ってくるかなー? でも、もう莉奈は寝る時間だよ」
「ヤダぁ! パパ待つー!」
駄々をこねる娘の気持ちも分からんでもない。
その時、玄関のドアが開く音が。
「パパだ!!」
真っ先に玄関に走っていく莉奈に私もついていく。
「おかえりなさい」
莉奈を抱き上げながら、一也は「ただいま」と笑う。
「あのね! よーいちおじちゃんがね、いっぱいあそんでくれたの!」
「おぉー、そうかそうか! よかったなぁ!」
娘を抱く時の一也の幸せそうな顔と言ったら……!
「莉奈、もう寝なさい? 後でママも莉奈と一緒に寝るから」
「はーい! おやすみなさい!」
莉奈がいなくなってから、一也はドカッとリビングの大きなソファに腰掛ける。
「倉持にお父さんの座を奪われる気がする」
「バカなこと言ってないでお風呂入って寝たら?」
「……明日、家族で遊びに行かねぇ?」
突然のことに私も驚く。
「え、野球の方は?」
「大丈夫。俺だって家族の時間欲しいし」
ちょっと不貞腐れてる一也に私は笑う。
「そうだね! たまには家族で出かけよう!」
頑張る君とこれからも二人三脚で歩み続ける。