第18章 夏までのカウントダウン
御幸との出来事から、1週間ほど経つ。あれから、私達男子応援団部の日曜日は完全休養日となった。
「ほら、リューマ! 動きにハリがないよ!! 太郎も腕震えすぎ! 筋トレしてる?」
後輩2人を名前呼びに変えたことによって、さらに距離が縮まった気もする。
「はい、休憩ー」
私の言葉に、リューマと太郎は腕を下ろして脱力する。
「今日の体育、バドミントンだったんです……。なかなか腕と肩にキますね……」
「バドミントンだったんだ! それは辛いね」
太郎がため息をついているところに、リューマがニヤニヤと笑う。
「あれれー? そんなんじゃまずいですなあ? 次の団長はやっぱ俺がやるしかない感じぃー?」
「木下先輩の後は俺が継ぐ!!」
仲良さげな二人を横目に、私は野球部の方を見る。
(夏前になると、表情が全然違う)
声、動き、一球一球に対する集中力……どれをとっても今までと違う。今までも真面目にやってきていたけど、特に3年生の最後の夏となると、意識の違いがプレーに出てくる。
(私たちも、頑張らなきゃ)
御幸とはあれから何もない。普通に仲の良い友達として、倉持も合わせて3人でつるんでいる。それでも、両想いなんだと思うと少し恥ずかしい。
「先輩!!」
後輩二人の声に、私は視線を彼らに戻す。
「「俺たちにも、リーダー教えてください!!」
「?!」
「もう、受けは完璧です! 俺、先輩の負担を少しでも減らしたいんです!!」
「まあ、ぶっちゃけ受けよりリーダーの方が目立って、かっこいいっす」
ああ、彼らも意識が変わったんだ。
「……よし、やろうか!!」
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練習が終わってから、唐突に俊平のことが気にかかった。2年になってから、一切連絡をしていなかった気がするし……。
(あいつも野球に本気になったってことだもんね。少しだけ、こっちから連絡してみようかな)
春の大会では、俊平のいる薬師高校はそこまで勝ち進んでいなかった。
元気にしてるかな、俊平。