第17章 春の大会 〜初陣〜
春の大会、青道は都大会を突破。関東大会に出場した。
初戦は神奈川の強豪、横浜港北学園。
五回が終了したので、グラウンド整備による休憩がある。
(2-2の同点か)
ドリンクを飲み、雲一つない空を見上げる。本当に最近はよく晴れる。
佐々木君と新島君は学ランをばたつかせて涼を呼び込もうとしている。
「今日は暑いね」
「っす……」
「関東大会のプレッシャーもあるよね。ブラバンも応援に来てくれたし。私達も頑張ろう!! 声、出そう!」
「「はいっ」」
正直、私も体がしんどい。普通だったらリーダーは交代で回すけど、回せる人がいないから一人でやり切っている。
(頭ガンガンする……)
7回が終わって、2-6。7回表の攻撃で一挙に4点も入れられてしまった。
(厳しいな……)
丹波さんは下げざるをえないけど、代わりに出すのは川上君? けれども、横学相手にいけるかどうか。
『8回の表、青道高校投手の交代をお知らせします。8番丹波君に代わり、ピッチャー降谷君』
(1年生?!)
試合にはあと一歩のところで負けた。けれども、私……いや、この場にいる人達は決して忘れることがないだろう。
150キロの豪速球を投げた1年生投手の存在を……。
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私達応援団部は一旦学校に戻った。
「先輩、顔色悪くないっすか? 何なら俺が介抱しますよォ〜」
「リューマ! お前の言葉はいちいち下心が見えるんだ! 木下先輩に手を出したら俺が許さないぞ!」
「太郎がお堅いだけなんだよ〜」
(あ、視界が歪む)
応援団部の部室前で、私は足から崩れ落ちた。
「「先輩っ!!」」
佐々木君の手が私の額に触れる。
「熱いっ……! 先輩、熱あるじゃないですか!」
「太郎! 俺、どこか空いてる部屋借りれるように頼んでくるから、先輩頼んだぞ!!」
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御幸side
落ち込んでいる暇はない。
横学に負けてから、俺達はバスで青道に帰ってきた。
(とりあえず、着替えてからミーティングかな)
なんて考えながら歩いていると、応援団部1年のチャラいやつが。
「空き部屋借りられないすか?! 木下先輩がっ……!」
(?!)