第17章 春の大会 〜初陣〜
観客にお礼を言ってから、素早く片付けを始める。早くしないと次の学校が来てしまうからだ。
「荷物みんな持った?! じゃあ、出るよ!」
応援関連の荷物を車に詰め、やっと一息つける。
佐々木君も新島君も額からダラダラと汗を流し、学ランの襟元をつかんでバタバタさせている。
(ドリンク買ってくるか)
近くの自販機でスポーツドリンクを3本買い、2人に分け与える。
「二人ともお疲れ! よかったよ」
「木下先輩の方こそ、素敵でした! 俺も先輩みたいに……」
「お疲れっすー」
タイプは全く違う二人だけど、良い後輩を持った。
(二人とも一生懸命なんだもの)
「木下!!」
その声に後ろを振り返ると、結城先輩を筆頭とする野球部のレギュラー達。
「結城先輩!!」
「お疲れ様。応援、届いたぞ」
「野球部の皆さんも、ナイスゲームでした」
「また来週も頼む」
「はい!」
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家に帰ってからシャワーを浴び、ラフな格好でベッドに横たわる。
(疲れたー……)
肩が痛み、今日は上がらないと思う。
携帯を取り、ベッドの中で連絡が来ていないか確認すると……。
(御幸からだ)
この間喧嘩らしきことをしたせいもあり、メールボックスを開くのが少し怖かった。けれども、恐る恐る開く。
今日は応援お疲れ様。木下の声がすごくよく聞こえたし、支えになった。ありがとな。
この間はごめん。
(……御幸)
頬に涙が伝い、慌ててそれを拭う。
「涙腺弱くなったかなぁ……」
好きな人のメールがこんなにも嬉しいだなんて、私も乙女になったものだ。
(返信、どうしようかな)
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御幸side
らしくないメールをしてしまっただろうか。
(けど、本音だしよ)
トレーニングルームで筋トレをしながら、そんなことを考えてしまう。
「御幸ー。お前の携帯鳴ってんぞ」
倉持に言われ、俺は即座に携帯をとった。
「……お前、なんかあったか」
倉持の汚物を見るような目も今は痛くない。
こちらこそ、ごめんね。
今日の御幸、かっこよかったよ!
次の試合も応援行くから、勝とうね*\(^o^)/*
このメールは永久保存だな。