第17章 春の大会 〜初陣〜
ついに始まった春の大会。初戦は晴れ。
(初陣だ)
1塁側のスタンドが青道。選手達は既にアップを始めている。
私は応援席の1番前で準備をする。
「新島君は最初に団旗を持ってて。佐々木君は最初に太鼓をお願い。二人とも様子を見てお互いに交代して」
「「はい」」
「太鼓やってる時は、応援歌が変わるごとにお客さんにこのボードを見せておいて」
曲のタイトルが描かれている大きな厚紙。お客さんはこれを見ないと次の応援歌は何かわからなくなるし。
(初戦だからブラスバンドはいないけど、女子応援団を含めて30人での応援。野球部の控えの人達もいるし、ご父兄の方やうちの生徒もある程度は見に来てくれている)
人数が少ないうちの部だから、終始私がリーダーを務めることになる。
(……頑張らなきゃ)
試合前、相手校とのエール交換を行う。
『フレェェェ! フレェェェ! せ、い、ど、ぉーー!!』
相手校の応援団に、一礼。私は観客席を振り返り、肩幅に足を開く。
「相手校にエールをおくります! みなさん、私の応援に合わせて声と、手持ちのメガホンを使って応援に参加してください!!」
「フレェェェ!! フレェェェ!! ◯◯ーーっ!!」
両膝を曲げ、空高く届くように叫んだ。
私の応援と同時に後ろから声と、メガホンの音。女子応援団部の甲高い声も続く。
相手校の観客も拍手を返してくれて、私は一礼する。
(気持ちいい……)
グラウンドの青道の選手達はこちらを向き、拳を向けてきた。
(みなさん、頑張ってください)
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青道の攻撃。1番バッターは倉持。
佐々木君は「TRAIN-TRAIN」と描かれたボードを持ち上げた。
「1番バッター倉持です! TRAIN-TRAINいきます!!」
佐々木君の声が響く。
(よし、いいよ。佐々木君!)
佐々木君の太鼓に合わせ、私は突きを繰り出す。女子応援団もそれに合わせて踊り、観客の声が響いた。
新島君も重い団旗をしっかりと持ち、声も出してくれている。
(頑張れ、青道!!)
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試合終了。青道の五回コールドだった。
選手が私達に向かって応援のお礼をしてから、私達は相手校とのエール交換を済ませ、応援終了。
(終わった……)