第15章 お騒がせな新入生達
「御幸には、関係ないよ」
私は御幸の顔を見ずにそう言い放った。そんな言葉で御幸が納得するはずもなく、私の腕を掴む。
「俺に関係ない? 明らかに俺が関係してんだろ!」
「怪我したのは私だから、御幸じゃないから」
「何だよ、それ……」
自分でも言い過ぎたと思う。それでも、御幸がこの問題に介入するよりかはマシだ。
御幸は顔を歪ませ、私の腕をそっと離した。
「俺はそんなに頼りないのか」
力ない声。きっと、私は御幸に嫌われた。
(嫌われても、いい。応援はいつでも一方通行だから。本人に好かれなくても、結果が出ればいいんだから)
「俺、練習に戻りますけど、先輩どうしますか」
「そうだね、俺も戻ろうかな。木下さん、一人で大丈夫?」
亮介先輩に訊かれ、私は元気よく頷いた。
「頭打ったのにそんな勢いで頷いたらダメでしょ。ま、おかしいと思ったらすぐ病院行きなよ」
「はい。助けてくれて、ありがとうございました」
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二人が去ってから、入れ違いで花野さんと鈴村さんが入ってきた。
(!)
花野さんは青ざめた顔で私を見る。
「……ごめんなさい。頭、大丈夫ですか」
「あ、はい。今のところは」
あえて吐いたことは伏せておく。
「……女子応援団部は男子応援団部と合同練習するわ。本番も力を合わせて応援しましょう」
(……)
「それは、私に対する罪悪感からですか」
私の疑問に、花野さんは顔を歪ませる。
「……そうね」
「それはあまり良い形とは言えない。でも、ありがたくこの機会を使わせてもらいます。いつか、お互いを高め合って精一杯応援できるように……。私も、頑張りますから」
私がそう言い切ると、鈴村さんが私の胸に飛び込んできた!
「ごめんなさい先輩! 私が真実とは言え、生意気な口をきいたから先輩がっ……」
「鈴村さんは悪くないよ。私も覚悟の上でしたことだし。お互い頑張ろう」
こうして、無理矢理ながらも女子応援団部と繋がることができた。
ただ、御幸との間にできた溝。その存在が苦しかった。