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詰襟応援団!! 【ダイヤのA】

第15章 お騒がせな新入生達


「でも、彼を生かすも殺すも御幸次第だけどね」

「ハハッ! そりゃー、違いない。けど、もう一人怪物ピッチャーが入ってきたんだよ」

(怪物ピッチャー?)

私が首をかしげると、「お、噂をすれば」と御幸が呟く。

「御幸先輩、投げ込み付き合ってください」

身長は180センチ以上あるだろうか。黒髪で端正な顔立ちな子。

「紹介するぜ。1年怪物ピッチャーの降谷暁(ふるやさとる)。ストレートは150キロくらいでるんじゃねえか? コントロールはまだまだだけど」

「……どうも」

ぺこりと頭を下げる降谷君。その挨拶を見ていると、彼が人見知りであることが伝わってくる。

「私は2年、男子応援団部の木下結です。よろしくね、降谷君」

さて、自己紹介も終わったんだけど……。

「私、そろそろ行くね」

「何、もう帰んの?」

「ちょっと前園君に用があるの。だから」

「ゾノに? なら、そこまで……」

「御幸先輩、投げ込み……」

降谷君はグローブも用意して、キラキラと目を輝かせながら御幸を見ている。

「御幸、降谷君に付き合ってあげなよ。私は1人で大丈夫だから」



「……そういうんじゃないんだけどな」


なにやら御幸がつぶやいていたけど、私の耳には届かなかった。私は御幸に「じゃあ、また明日」と一言言い放って別れた。




「前園君」

前園健太、2年。野球部の2年生の中でもリーダー的な存在になっているガタイの良いボーズ。2軍ではあるけど、頼り甲斐のある人だ。

「応援団部の木下やないか!」

「頼みがあって来たんだけど、時間ある?」

「おお、何や?」


私と前園君は寮の裏あたりに移動する。

「夏の大会、試合に出られない選手たちに応援を手伝って欲しいの。今から練習する訳じゃない、最後のレギュラー昇格戦が終わって、2軍や3軍に残った人達に……。辛いのはわかるんだけど、こっちも人数がいないし、やっぱり応援は人数が多い方がいいから!!」

「……それは、監督にも話したんか?」

「監督はきっとOKする。監督の指示ならみんなやるでしょ? その前に、みんなの意思を聞きたかった。だから、リーダーのような存在の前園君に話した」

私が真っ直ぐに前園君を見ると、前園君は照れ臭そうに笑った。


「……いいに決まっとるやないか」
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