第15章 お騒がせな新入生達
部員を獲得したわけじゃない。直接的に褒められたわけじゃない。それでも、拍手が嬉しくて涙が出た。
「頑張ってきて、よかったぁ……!」
「お疲れ様」
そう言って優しく私の頭に手を置いてきたのは、結城先輩。
「あとは舞台袖からゆっくり、他の部活の発表を見ていよう」
「はい!」
結城先輩の隣で体育座りをして、そっと他の部活の発表を見る。
「いい発表だったぞ。こんなに立派な応援団がいて、俺達野球部は幸せ者だ。……これからの大会、応援頼んだぞ」
結城先輩の力強い瞳。
「こちらこそ、よろしくお願いします!!」
「木下さん」
その声に見上げると、バスケ部のキャプテンやサッカー部のキャプテン達。
「正直舐めてたわ……。あの、俺たちの部活の応援にも来て欲しいんだけど」
「ぜひ! よろしくお願いします!!」
そうだ、このガイダンスは1年生だけじゃない。全校生徒に私の応援が届けられたんだ……。
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帰りのホームルームが終わり、御幸に話しかけられる。
「凄い良かったぜ、木下の発表」
御幸に褒められると、他の人とは違う喜びが溢れてくる。
「あ、りがとう!」
「俺もお前に負けないように頑張らなきゃな!」
(……っ!!)
御幸の笑顔が眩しい。心臓が高鳴る。
(話すたびにこんなにドキドキしたら、マズイって)
「けどまあ、変な後輩には気をつけろよな」
「佐々木君と新島君のこと?」
「そう! 応援団ってより、木下目当てっぽいから」
「まあ、そこは自分なりに彼らと話してみるよ。心配してくれて、ありがと」
「べーつに? 俺もう部活行くわ、んじゃな」
「うん、頑張ってね」
進級したからかな。馬鹿みたいなやり取りがなくなったような気がする。(元々そんなにやり取りしてないけど)
きっと、進級と同時にお互い成長したんだ。
(私達は、応援する側とされる側……それ以外のなんの仲でもないもんね)