第15章 お騒がせな新入生達
今思えば、入学式前に2年棟までやってきた佐々木君はすごいなと思う。
「あの、その不機嫌な顔やめなよ? せっかく3人とも同じクラスになれたんだから」
昼休み、1年の時と変わりないメンバーで食事を取っているのだけど、御幸が不機嫌な顔をしているのだ。
「……別に?」
「別に、じゃねえよ! お前の不機嫌な顔はこえーんだよ!」
「元ヤンに言われたくねえな」
「んだコラ御幸コラァ!」
「倉持、本当にヤンキーに戻ってるよ……」
御幸が不機嫌になったのは、佐々木君に会ってから。
(生理的に合わない人だとか? でも野球部に入るわけじゃないんだから、気にする必要ないよね)
「失礼しまぁーっす!!」
教室のドアが開いたと思ったら、金髪の1年男子がズカズカと入ってくる。
(あ、れ? こっちに来てる)
「どーもどーも! 新入生代表を務めてました、新島リューマでぇす!!」
笑顔で私に挨拶してくるこの男。そいつの腕は真っ直ぐに私に伸びていて、私は胸に違和感を感じる。
(まさ、か)
恐る恐る胸元に視線を落とすと、新島君の両手が見事に私の胸を鷲掴みにしているではないか!
「サイズはCってとこですかね。でっかい方が良いとも言い切れないっすけど、もうワンサイズ大きい方が俺好みですよっ」
「このっ……クソガキがっ!! 舐めんてんのか、ああっ!?」
中学以来、初めて発した暴言。そして、本能的に繰り出す回し蹴り。
新島君の顎に足先が直撃し、新島君はその場に倒れた。
「おい、木下!」
倉持が青ざめた顔で私の隣に立つ。
御幸は無表情のまま新島君に近寄り、しゃがんで顔を覗き込んでいる。
「どーする? 意識が戻る前にもう何発か入れとくか?」
と真顔で語る御幸。
私は正気に戻り、急いで新島君のもとに駆け寄った。
「ご、ごめん! やり過ぎだよね……」
胸を揉んだことは許さないけど。
新島君はゆっくりと起き上がってニヤリと笑った。
「男子応援団部入部希望なんで、よろしくっ!」
「黙れ変態」
御幸が新島君の鼻をつまむ。
それでも、私は彼の言葉に先程までの失礼な行為をチャラにしてしまうくらいの衝撃を受けた。
(部員、2人確保……?)