第15章 お騒がせな新入生達
春、ついに私は2年生になりました。まあ、成績悪くなければ自動的に進級するけど。
今、私はクラス発表の掲示板の前にたたずんでいる。
(木下結は……)
人混みの圧迫感に押しやられつつも、私の目は自分のクラスを把握することができた。
(!)
探していたわけではない、というと嘘になる。
(御幸と一緒のクラスだ……)
自然と胸が高鳴り、口の中が乾く。なんだろ、この感じ。
ぎゅっと目を閉じ、私はカバンを前に抱えて階段を駆け上がった。
「木下! また一緒のクラスだな!」
ああ、この声を聞くと反応してしまう。うるさいはずの心臓がさらにうるさくなる。
そっと後ろを振り返ると、屈託無く笑う御幸の姿。
「嬉しい、よ」
「おう」
初めて出会った時よりも、距離が縮まったような遠くなったような。
(それでも、この気持ちに気づけたから)
学校生活はさらに楽しくなるだろう。
恋愛禁止の応援団だけど、私は3年までこの想いを秘めて待つよ。
「木下先輩! 覚えてますかっ!?」
中学までは坊主だったけど、最近伸ばし始めましたみたいな髪型の男子。上履きの色から察するに、新入生だろう。
「俺、中学の時、先輩に助けてもらいました!
……佐々木太郎ですっ!!」
その顔を見た瞬間、中学の時に歳下の野球坊主を叱咤激励したのを思い出した。
「勝てないっていじけてた佐々木君?」
「ちょっ! それは、そうですけど!!」
佐々木君は頬を染めて私の手をギュッと握った。
「先輩が応援団やってるって聞きました! おれ、先輩の為ならなんでもします! 応援団入ります! お側に置いておいてください!!」
「うええ?!」
私の学ラン姿にビビりすらせず、謎の発言を残した彼。
「ちょっと、お前誰だよ」
御幸が明らかに敵意剥き出しで佐々木君に話しかける。
「俺は木下先輩に中学時代お世話になりました、佐々木太郎です。俺の高校生活、木下先輩に捧げるつもりですから!!」
「それはそれは。面白い理由で青道に来たもんだな? せーぜー頑張れよ」
あれ、二人とも敵意剥き出し?