第2章 3度目の正直になれなかった私は
「応援団?」
いや、待ってよ。今の流れって、マネージャーやってくれの流れじゃない? 応援団ってもはや、野球部自体とは何ら関係ないんだけど。
「あ、ちなみに男子応援団な」
「しかも、男子ィ?!」
高校に入ってからは影を潜めていた私のツッコミスキルが炸裂する。
「いやー、人が足りないらしくてさ。廃部の危機なんだとよ」
(そんなところに私を放り込むつもりか)
御幸君は悪気もなさそうにケラケラと笑う。
「私に何の得があるのさ。……呆れた。帰る」
「まあ、待てって」
立ち上がろうとした私の腕を引き、隣に座らせる。
「スポーツに諦めがつかないなら、応援すればいいだろ? マネージャーとは違って、部のサポートなんかじゃねえ。応援団だって、立派な運動部だろ」
御幸君の言うことはあながち間違ってない。
(イカンイカン、口車に乗せられては)
だいたい、野球の御幸君が誘ってくるのも妙だ。
「御幸君さ、応援団の人に買収でもされてるの?」
「……ばれた?」
(結局、こいつは私に応援団やってほしいなんて思っていないわけで)
「あり得ない。何なの本当に?!」
「それに、応援してもらうなら」
「可愛い子のほうがいいでしょう。私なんかやめたほうがいいよ」
「野球を、俺達を知ってくれてるほうがいいだろ」
応援団部……考えてもみなかったな……。