第12章 進級までの5ヶ月(バレンタイン編) ※主に御幸side
休みも終わり、俺はいつものように朝練を済ませてから教室に向かった。
(結局、バレンタインは自分で作っちまったな……。てか、倉持にあげるやつって、俺が作ったやつを使いまわす気なのか?)
木下は倉持にバレンタインをあげると約束していたが、あいつは作ってなかったからな。俺と真田の手作りを倉持に回すのだろうか?
「み、御幸っ」
既に学校に来ていた木下。俺の席の隣に立っていて、まるで俺のことを待っていたかのように錯覚させる。
「お、おはよう」
「おは、よう! あの、これ」
木下が持っているのは淡いピンク色の紙袋。
もしかしてと期待を抱く俺。
「つ、作ったから! 二人が帰ってから、ちゃんと作ったから!!」
そう言ってくる木下の顔は真っ赤で、俺は不覚にも「可愛い」と小さく声に出してしまったが、聞こえてはいないみたいだ。よかった。
「サンキューな」
紙袋を受け取りながら呟く。
「よかった! 御幸にあげることができて」
そんなこと可愛いことを言う木下。
(期待させんな、バカ)
あいつの笑みに俺は期待して、きっと淡い期待を抱き続けるんだろうな。
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次回から本編に戻ります!