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詰襟応援団!! 【ダイヤのA】

第12章 進級までの5ヶ月(バレンタイン編) ※主に御幸side


「んじゃ、俺と真田でバレンタインと昼飯作るから。木下はそこら辺座ってて」

「あの、待って。主旨がズレてるよ? 日本ではバレンタインは女子から男子になんだよ? てか、私から欲しいって言ってなかったっけ?」

(男には譲れないところがある。それが、今なんだ)

俺は軽く真田を睨みつける。


「結ー、卵切れてるみたいだから買ってきてくれよー」

俺の睨みにも気付かず、真田は木下の家の冷蔵庫を漁っている。


「……なんなの、本当に。いーよ、じゃあ卵買ってくるから。お二人で料理頑張ってくださーい」


と木下は不機嫌そうに家を出て行った。

俺と真田はそれを見送って、手を洗うなどの準備をする。

「なー、御幸」

真田は手を洗いながら、目もあわずに話しかけてきた。

「随分馴れ馴れしいんだな。まあ、構わないけど。……なんだよ?」

「結のやつ……ぶっちゃけ怖かったりしない?」




「……はあ?」




てっきり牽制でもしてくるのかと思ってたから、間抜けな声がでてしまった。

「別に? 何も怖くねーけど?」

「じゃあ、やっぱりあいつ、変わったんだな」

真田は困ったように笑った。

「小学校中学校と、あいつ……色々怖かったから」


そうして、真田は木下の過去を語り出す。


「元々気が強い奴で、小さい頃なんか俺より喧嘩強かった。体も他の女子よりでかいし、小学校の頃はさんざん男子に喧嘩売られてたらしいんだけど、全員返り討ち。挙げ句の果てには一人称は「俺」だってさ。あ、これ、あいつの黒歴史だから拡散すんなよ?」

(想像できねえっ……)

男子応援団に入るからにはそれなりの強さがあるとは思っていたが、出会った時のあいつは弱ってたから。物言いも強くないし、どこか遠慮がちだった。

「中学校のソフトボールでは、鬼キャプテンだったらしくて。俺も中学の頃はあいつとあんまり連絡とってなかったから、詳しくは知らないんだけど。毎日怒鳴り声が響いてたとか……。それでも部活を辞めた人がいなかったってことは、人望はあったんだろうな」

確かに、あいつには人を惹きつける何かがある。

(あいつの一生懸命さに、俺は……)



気がつけば、俺と真田は手を止めて木下の話をしているのだった……。
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