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詰襟応援団!! 【ダイヤのA】

第11章 進級までの5ヶ月(クリスマス編)


続いてはクリス先輩。

「クラスの女子に勉強を教えたな」

どうしよう、流石としか言えない。「色恋じゃない」なんて口が裂けても言えない。


伊佐敷先輩。

「この間買った少女漫画の新刊の話なんだけどな、ついに2人が結ばれやがったぜ!!」

嬉々として二次元の女の子の恋愛を語る伊佐敷先輩。

(てか、少女漫画好きなんだ)



これまた気になる倉持の恋愛事情。

「俺は最近、気になる女子がいるっすね」

「え、あの倉持が!?」

私の大げさな声に腹を立てたのか、倉持君に柔道の寝技をかけられる。

「痛い痛い痛い痛い」

首が締め上げられ、息をするのもやっとだ。反射で閉じてしまっていた瞼をゆっくり開けると、予想よりも近いところに倉持の顔が。

「あっ……」

「木下……っ」

「はい、そこまで」

小湊先輩によって強引に倉持から引き剥がされた私。ゆっくりと呼吸を整えていると、みんなの視線が集まっていることに気がつく。

「で? 木下さんは?」

小湊先輩の脅しに近い問いかけに、私は己の記憶から色恋沙汰を探す。


『俺はただ、一生懸命練習している結を見て、いいなって思ったから』


鳴に告白されたことが頭をよぎる。

(まだ、返事してないや……)

あの時から、鳴は事あるごとに私に「好きだよ」って言ってくるようになった。私は曖昧な笑いでしか返せないけど、鳴は今まで通り、友人でいてくれている。

「私は、稲城実業高校の成宮鳴に告白されたんですけど、未だに返事を保留にして、返せていません」

「……鳴、かよ」

御幸君の顔がくしゃっと歪む。それとは正反対に伊佐敷先輩は私の頭をわしゃわしゃ撫でる。

「すげえじゃねえか、お前! 成宮を落とすとか、何やらかしたんだよ!?」

「やらかしてないですよー!」

視線を躍らせていると、壁がけ時計が目に入る。

(今日は早く帰らなきゃいけないんだった)

私は伊佐敷先輩の手をかわして立ち上がる。

「すみません、今日は早めに家帰らなきゃいけないんで、お先に失礼します!楽しかったです! みなさん、メリークリスマス!」


そして一礼してから寮から飛び出した。外はもう真っ暗。


「おい、木下! 送ってく!!」


外でマフラーを巻いている時、御幸君の声がした。
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