第11章 進級までの5ヶ月(クリスマス編)
さて、明日から冬休み。マフラー、手袋、コートが欠かせなくなるこの季節。
「学校行きたくないなあ」
マフラーを巻きながら呟く。わずか半日しか授業がないのに学校に行く意味がわからない。
「そんなこと言わないの! あんた、今日はクリスマスパーティーの予定とかあるの?」
母のセリフで初めて、今日がクリスマスイブであることに気がついた。
「あー……特にないよ」
「寂しい女だねえ! 学ランなんて着るから彼氏できないのよー」
「着ても着なくてもできないものはできないんです」
「とにかく、今日は夕飯家で食べるから絶対に帰って来なさいよ。俊平君が遊びに来るって!」
「りょーかーい」
小学校の頃はよく俊平が家に来て、手料理を作ってくれたりしたものだ。
(久しぶりに食べれるかな)
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学校に着くと、今日は運動部の人達も朝練がないらしく、比較的早い時間帯から教室に人が集まっていた。
「よお木下!」
倉持は寒さを感じさせない格好をしている。……ワイシャツ1枚でこの気温の中いられるとか、ちょっとおかしいんじゃないの?
「寒くないの? 倉持」
「問題ねーよ! それより、今日は俺たちも珍しくオフなんだよ」
「はあ」
「俺の寮の部屋で格ゲー大会やるから来いよな!!」