第9章 野球部秋の新人戦! ……の前に
「今、答えを出すことはできません……」
これが精一杯だった。
一時の感情に身を任せてはいけない。
「いいよ! 断られなかっただけ、脈アリだしねっ」
どうしてだろ、告白されたからかな。
成宮君を見ていると、体が紅潮してくる。全身が熱くて、すごくドキドキする。
「成宮君……ありがとね」
すると、成宮君は私の頬にそっと手を伸ばしてきた。
「鳴、だよ。俺の名前は鳴だよ」
「!」
徐々に距離が縮まってくる。
「鳴……でいいの?」
お互いの鼻がくっつきそうなくらいの距離。視界には成宮君……いや、鳴以外には何も入らない。
「そ! 今からそう呼んでよ」
「……ん」
恥ずかしくなって鳴から目をそらし、窓の外を見たが、まだ雨は止みそうになかった。
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そして、ついに秋季大会が訪れる。