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詰襟応援団!! 【ダイヤのA】

第9章 野球部秋の新人戦! ……の前に


……なんて夢だ。

私はゆっくりと目を開き、辺りを見回す。……体が痛い。
どうやら、私は壁に寄りかかって座りながら寝ていたようだ。


(あ、俊平は?)

私の記憶が確かなら、俊平と背中合わせで寝ていた気がするんだけど。


リビングに行って母に聞くと、朝の5時くらいにそっと出て行ったらしい。

(そうだよ、部活頑張るんだもんね)

俊平がそう決意し、私も昨日で吹っ切れたつもりなんだけど……。

(夢に御幸君が出てきた)

彼に嫌われても応援やめない、そう決めたはずなんだ。それでもなお夢に御幸君が出てくるなんて、私はどうしたのだろう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

「おい、木下!」

倉持の声でハッと我に返る。
私の視界に映る倉持の不機嫌な顔。

「ごめん、ぼーっとしてた」

「さっきからどうしたんだよ? 昨日から変だぞ?」

手元を見ると、お弁当が机の上に溢れている。
私は手元も見ないで食べていたのか……。

「ちょっと、ね。……運動辞めてから、メンタル弱くなったのかもしれない」



「俺も飯、一緒にいい?」



私のこの感情の元凶である男が買い弁を片手にやってきた。

「!」

どうしよう、震えが止まらない。何でだろう、なんだか泣いてしまいそうだ。

「ごめん! トイレいってくる!」

キャラ崩壊しかねないので、私は席を立って教室から逃げるように去った。


廊下を走っている時、ふと思い浮かぶ松浦先輩の言葉。

『女の顔してた』
『青道野球部と惚れた腫れたは禁止』



この緊張と嫌われたくないという気持ちは……。


「木下! やっぱ、お前昨日から変だ! 大丈夫かよ?!」














(この男に恋をしているということなのか)














左手首を掴まれ、私は足を止める。
振り返ると、息を切らして困った顔をした御幸君の姿が。


「別に変なんかじゃないよ」

「言葉で言ってくんなきゃわかんねー。俺が木下に何かひどいことを言ったのかもしれないし」


そうだよ、私はまだ一度も問いただしていない。




「御幸君は、私が応援団に入ったこと……正直、どう思いますか。やっぱり、女じゃ役不足だと思いませんでしたか……?」
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