第7章 男女の間にあるもの
ああ、私が馬鹿みたいだ。
俊平がこんな決心をしているときに、私は御幸君の言葉1つに振り回されていたなんて。
(嫌われたっていい。嫌がられたっていい。……私は応援するんだ)
そう決めると、なんだか目頭が熱くなってきた。
「結、泣いてんのか」
「……ん、ちょっとね。でも、俊平と話したらすっきりしたよ」
こんなにも目標に向かって真っ直ぐで、愛おしい高校球児を応援したいと思ったんだ。
大体、応援なんて所詮は一方通行。応援が届いた時、それが結果として帰ってくる。
「私は、相手に嫌がられても応援するよ。そして、いつか私の応援が力になればいい。それで、いいんだ」
「……無茶すんなよ」
「俊平こそ」
交わした言葉は少ない。
きっと、しばらくは俊平に会えない。次に会うのは公式戦かもしれない。
でも、長い間の絆があるからかな。俊平とは無言の空間でも一緒にいられる。むしろ、安心するのかも。
「頑張ろうな、お互い」
「うん……」
私と俊平は背中合わせになって座り、そっと目を閉じた……。