• テキストサイズ

詰襟応援団!! 【ダイヤのA】

第7章 男女の間にあるもの


私はこの学校の野球部と恋愛をするつもりもないし、まず恋愛が許されていない。しかも、見た目はただの男だ。だから、御幸君が傍にいてくれる。

(御幸君はストイックな人なのかね)

イマイチ距離感が掴めない。

「そーいや、哲さんが木下とバッティングセンターに行ったこと、嬉しそうに話してた」

「え?!」

「経験者らしい、良い振りをしてたって」

まさか、結城先輩が褒めてくださっていたなんて。
嬉しさと恥ずかしさでなんだかムズムズする。

「あと、お揃いのストラップのことも嬉しそうに言ってた。……哲さんのあんな顔、初めてかもな」

御幸君は不意に私から目をそらし、小さく呟く。

「毎日でっけー声出して、1人で練習してるもんな……。俺達野球部も、木下の頑張りはよく見てるから」

「な、何を突然……」

その時、御幸君は一瞬で私との間合いを詰めてきて、私の手首を掴む。

「!」

顔が、近い。

御幸君のまつ毛が数えられそうなくらいだ。

「そのくせ、細い手首。……何が「男子」だ。ちゃんと女子だよ、木下は」

御幸君が変だ。
私の手首を強く握り、こんな距離で会話をするだなんて。

「どうしたの、御幸君」

「……応援団に誘うんじゃなかった」




(え……)





御幸君はそう言い放ち、私から離れていった。



そして、今日は1度も口をきくことがなかった。
/ 127ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp