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詰襟応援団!! 【ダイヤのA】

第7章 男女の間にあるもの


次の日、私はバッグからストラップを下げて学校に登校する。ちなみに、私は朝練をせず、放課後のみの部活動としている。


教室に入ると、まだ誰もいない。

(掃除でもするか)

掃除は嫌いじゃない。むしろ、好きだ。けれども、なるべく雑巾掛けはしたくないから……掃き掃除が好きっていうのかな。
集まっていくゴミの中に、一枚の紙切れが。

「先輩はウーロン茶が好き」

と汚い字で書いてある。そして、ゴミの発見場所は倉持の席の下。

(倉持、パシリにされてるんだ!)

飲み物を持って走る倉持を想像すると、思わず笑いがこみ上げてくる。

「っはは……倉持……っ」

「朝から不気味な笑い方だな」

驚いて振り返ると、御幸君の姿が!

「お、おはよう……」

「おはよう? さてさて、何がおかしかったんだよ?」

御幸君が意地悪そうな笑みを浮かべて歩み寄ってくる。いや、別に隠すような内容じゃないんだけど、倉持に知られたら面倒だからさ……。

その時、学ランのポケットに入っている携帯が鳴る。電話じゃなくて、メールの受信音だ。

「ごめん、失礼」

友達がいないので滅多に鳴らない私の携帯。一応スマートフォンなんだが、肝心のインターネット機能すら使わない始末。

「成宮鳴」

の文字。

「鳴からかよ?」

気がつけば、私の顔からおよそ10センチくらいの距離に御幸君がいる。

(普通、女子のメールなんか覗かないでしょ。デリカシーないなあ……あ、私は男子なんだ)

なんてことを思いながらメールを開くと、

『今週もうちの学校に来る? もし来るようだったら、付き合ってほしいところがあるんだけど』

(場所くらい教えてくれてもいいじゃないか)

場所名を伏せたままお誘いを受けても、ねえ?

「何、鳴とそんなに親しい間柄なの? もう付き合ってるとか? それとも片想い?」

いつになく真剣な御幸君に、私は全力で首を横にふる。

「まさか! あり得ないよ! 男女の間にあるのは恋愛感情だけじゃないし……。てか、まだ友達と言えるかもわからないのに」

「そうか? 大抵の場合、男女の間には恋愛感情があるもんだけど」

「だから、御幸君はあんまり女子と話さないんだね……」


野球に全てを懸けてるから。

この思考が私と御幸君の相違点、なのかな。
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