第6章 学校生活の変化
さて、波乱のプールの時間が始まった。
(やっぱり、男子の前で水着は恥ずかしいよな……)
先ほどまでの感じの悪い男子もいることだし、気合の入っているクラスメイトの女子を見る限り、みんなにはついていけないだろうなと予想する。
「あれ、意外と木下さんって良いプロポーションしてるじゃん!」
と叫ばれたのは、女子更衣室の中でのこと。
クラスの女子の叫びに、なんとかタオルで自分の体を隠すけど。
「身長160センチもあるし、足もなかなか……」
「ひいいっ!」
足を触られたので、思わず声を出して逃亡する。
タオルで体を隠しながらプールサイドに上がると、既に男子がいっぱい。
(ふおっ!)
中には御幸君と倉持君の姿も。
しかも、2人の上半身はすごくいい体してる……うん、筋肉が素晴らしいよ。
「女子! 早く着替えてプールサイドに並べ!!」
体育の先生の声に、他の女子もゾロゾロと出てくる。
そして、私はタオルをとって並ぶ。
水泳の授業とは、泳げる人と泳げない人で分かれて授業をするもので。男でも泳げない人は泳げないし、女でも泳げる人は男子並みに泳げる。
(まあ、私もその一人だけど)
1番泳げる人のコースで泳ぐ。最初は冷たかったプールの水にも慣れて、むしろ心地よく感じられるくらいだ。
「ヒャハ! 木下、泳ぎ得意なんだな!」
と声をかけてくる倉持君はクロールのスペシャリスト。めちゃくちゃ速い。
「俺はのんびり泳ぐ方が好きだけどな」
という御幸君は平泳ぎで遠泳をしている。
授業はただひたすら、好きな泳法で泳ぐだけ。
「今から20分間は自由時間にする」
その掛け声を待っていましたとばかりに、クラスの男子が暴れ出す。
(背浮きで日光浴しようかな)
遊ぶ友人もいない私は、ひたすら背浮きをして陽の光を浴びる。
(気持ちいい……)
そっと目を閉じ、ただ流される。……ああ、なんて気持ち良いんだろう。
その時、私の背中に誰かの体が当たる。
(誰かの上に乗っちゃった?!)
私が足を動かすと、腕が掴まれる。
私は水底に足をつくと……
「ビビったぁ……。木下かよ」
御幸君が困ったように笑う。
(私、彼の上に乗ってた?!)
体が火照る感じがした。