第2章 3度目の正直になれなかった私は
私の名前は木下結。身長はおよそ165センチほど。高校1年生で、中学ではソフトボール部に入りつつ、オフの日はテニススクールに通うほどの大の運動大好き人間だった。
そんな私だけど、この運動部が活発な青道高校ではただの帰宅部。クラブチームでスポーツに励むこともせずに、私は自堕落な日々を送っているわけだ。
放課後の部活もないので、学校を出るのは3時半とか4時くらい。帰り道で小学生に遭遇すると、さすがに辛い。
せっかくの夏休みも、私は学校の夏期講習に来ていたのだ。
そして、本当にただの興味本位で野球部の練習を覗いていた。まあ、中学でソフトボールをやっていたこともあってルールくらいわかる。
中学でソフトボールをやっていたせいかもしれない。
私目掛けて野球ボールが飛んできて、避けなかったのは。
(私相手にこんな甘っちょろい球、舐められたもんだね!)
守備は得意だった。だから、私は捕球動作に入る。
「あんた、馬鹿かーっ!?」
野球部の誰かの叫び声。
ボールが視界いっぱいに広がってから、私は気付いた。
……あ、グローブはめてなかった。