第25章 あの頃と同じ
試合終了を告げる音に、私はそっと目を閉じた。
目を閉じれば、昨日のことのように思い出される御幸との出会い。応援団部への入部。
(あの頃は、部活を辞めたことによって自信を失っていたんだっけ)
何をするにしても、自分が本当に正しいのか心配で、自信がなかった。
(私の失った自信を取り戻すキッカケをくれたのは、応援団であり、野球部であり、御幸だった)
礼を終えてベンチに戻っていく選手たちを見て、心の中でありがとうと言った。
「皆さんも応援ありがとうございました!!」
後ろを振り返り、学校の人たちやその保護者方、青道ファンの人たちに頭を下げる。
(これで、私は応援団部を卒業するんだ)
『こちらこそ素敵な応援ありがとう!』『去年から頑張っていたもんな!』『リューマ! しっかりと跡を継げよ!』『青道の応援魂、後に繋ぐんだぞ!』
『『『団長お疲れ様でした!!!』』』
「リューマ、太郎。あとはよろしくね」
「勿論っすよー!」
「お、俺……先輩がいなくなるなんて、寂しくて……」
「泣くな太郎! 後輩も入ってきたんだから、ちゃんと補佐しないとダメだからね」
「木下先輩は泣かないんすか? せーっかく最後の試合なのに? なんかこみ上げてくるものはないんすか?」
「不思議だね。今はすごく、笑いたい気分なの」