第24章 敗戦
青道野球部と別れ、私は稲実の応援団部の人を訪ねた。
「お疲れ様でした! 甲子園でも、頑張ってください」
稲実の応援団部の人は小さく笑みを浮かべる。
「ああ、ありがとう」
悔しいさ。悔しいよ。それでも、稲実は強かったし、応援も良かった。
(これは、戦った相手に対する敬意を示してるんだ。だから、泣いても、いけない)
「結!」
またもや会いたくない人が。
「……鳴」
青道を倒したのは事実、この男だと言ってもいい。
鳴は泣いて赤くなった目をゴシゴシとユニフォームの袖で拭う。
「甲子園、観に来て!」
「……はあ?」
待って、これが負かした相手に言う言葉?! さすがにまだ傷心癒えてないんだけど。
「何言ってんの」
「青道の分まで勝つから!」
鳴は私の両肩に手を置き、同じ目線でハッキリと言い放った。
(そんなこと言われるとな……)
「甲子園の決勝、観に行くね」