第22章 夏の大会準決勝
準決勝、両校とも先発はエース。
「2アウト!! みなさん、ピッチャーを盛り上げてください!!!」
準決勝ともあって、観客は多数。学校の生徒も今までよりもさらに観に来てくれている。
(3回終わって1点リードされてる、か)
けれども、流れは悪くない。
「太郎、次の回からリーダーやって。私は観客席回って盛り上げてくるから」
「はいっ!!」
応援団の動きも徐々にスムーズになってきたし、やっぱり慣れなのかな。試合ごとにいい応援ができるようになってきている。
「女子応援団部の皆さん、次の攻撃は3番の伊佐敷先輩からです! 準備よろしくお願いします!」
汗をぬぐいながらの応援。相手ピッチャーが巨人だろうがなんだろうが、うちの打線ならきっと崩せる。
(仙泉学園を倒して、決勝へ……甲子園へ!!!)
蓋を開ければ8ー3で、青道は3年ぶりの決勝進出を決めた。
「本日は暑い中、応援ありがとうございました!! 決勝もよろしくお願いします!!!」
いつも通りの挨拶を済ませ、観戦席から出て購買にいく。午後からは稲城実業の試合を見ようと思ったので、球場からは出ないことにした。
「鳴の試合、か」
購買で買ったお茶とおにぎりを手に観戦席に戻ると、青道のレギュラー陣の姿が。
「お、お疲れ様です!!」
ぺこりと頭を下げると、「堅苦しすぎ」と亮介先輩からチョップを喰らう。
「け、結構痛いんですけど先輩!」
思わず頭を上げると、そこには穏やかなみなさんの表情が。
「おまえを、甲子園に連れて行ってやるからな」
結城先輩の静かな言葉。
「哲! 俺が言おうと思ったことを……!」
「ヒャハ! 純さんどんまいっす!!」
(……!)
「はい! ありがとうございます!!」
「そうだ、木下。お前もこの試合見るの?」
御幸の問いに私は小さく頷く。
「せっかく神宮まで来たんだし、鳴の試合は見てみたいと思ってて」
「木下先輩! 俺の隣空いてますよ!! この俺の隣がっっっ」
元気よく自分の前の手すりを叩く沢村くん。いや、空いてるって……席じゃないのね。
「じゃあ、お言葉に甘えて。一緒に観させてもらうよ」
私の言葉に御幸は嬉しそうに笑った。
「鳴の癖とか見つけたら逐一報告な!」
「いや、私には無理だから!」