• テキストサイズ

詰襟応援団!! 【ダイヤのA】

第20章 薬師戦


明日は薬師戦だ。

「リューマも太郎もお疲れ様、明日も応援だから日付が変わる前には寝なさいよ!!」

「うーっす」
「はいっ!」

私は2人を校門まで見送ってから、そっと野球部のグラウンドを覗く。

(明日の薬師戦、厳しい戦いになりそうだな)

市大三に打ち勝ったチーム……打撃はうちよりも上なのかもしれない。

(だからこそ、応援!!)

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

練習が終わったのか、選手たちがぞろぞろと寮の方へと歩いていく。

(御幸、いないかな)

「……木下か」

突然背後でつぶやかれ、飛び上がって振り返ると……

「ク、クリス先輩ですか……! 心臓止まるかと思いましたよ!?」

クリス先輩はそんな私を見てフッと口元を緩める。

「御幸に用か?」
「……あ、いや、そういうんじゃ……」
「お前は本当に御幸が好きだな」

(!)

一気に体温が上がるのがわかる。

「だからクリス先輩っ! ちゃ、茶化さないでくださいよー……。明日は薬師戦なんですし、緊張感持っていきましょうって」
「明日が薬師戦だからこそ、リラックスするべきじゃないのか?」
「私はリラックスの道具ですか……」

少し肩を落とすと、クリス先輩は私の頭に優しく手を置く。

「御幸に限って緊張してることはないと思うが……。頼んだぞ」
「え……」

クリス先輩が意味深な言葉を残して去っていくと同時に、御幸が姿を現す。

「……クリス先輩と何話してたんだよ?」

怪訝そうな顔の御幸。

「……特には。話題ってほどのことでもないし」
「ふーん」

御幸に学ランの袖を引かれ、自動販売機の隣のベンチに。

(ここも恒例になってきたな)

「……明日の薬師戦、厳しいかもしれない。監督は丹波さんを使わないって言ってたしな」
「……負けないよ」
「はあ?」
「青道は、負けないよ」

なんとなく、確信している。それに、弱気になっていたら本当に食われてしまう。

「俺の隣に木下がいてくれてよかった」

御幸はそうつぶやいて、私の方を見て笑みを浮かべる。

「お前の幼馴染の真田には悪いけど、勝つからな」
「だね。俊平に勝つ!!」
「明日もよろしくな」





付き合えなくてもいい。


ただ、御幸のそばにいて、支えて、応援したい。





(ずーっと……)
/ 127ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp