第14章 -虹色の先輩との出会いのお話-
『あぁん⁈青峰、てめぇ、
オレに気付いてなかったのかよ?』
『いや、そういうわけじゃ…』
『ふぅん…まぁ、おまえは今日は
フットワーク3倍な。』
『なっ⁈虹村さんっ⁈』
大ちゃんが急に慌て出す…。
虹村さん…もしかして、
わたしの表情の意味に気付いて、
お姉ちゃんと大ちゃんの会話、
わざと止めた…⁈
『んじゃ、オレ先に行くわ。
えっと、桃井…じゃ、ややこしいな。
すみれ…だったか?』
『え⁈は…はい‼︎』
突然、名前を呼ばれて、
ハッとして返事をすると、
虹村先輩はわたしに視線を合わせ、
頭をポンポンとしてくれた。
『間違えて悪かったな。』
『あっ…いえ…。』
『…‼︎(な…っ⁈)』
『青峰と桃井も遅れんなよー?』
そう言った虹村先輩は、
先に体育館のほうへ行ってしまった。
それがわたしと虹村先輩との出会い。
-----------*
でも、その出会いのおかげで、
虹村先輩とは仲良く?なれた気がする。
「そういや、あん時…」
「え…?」
虹村先輩のことばに
シェイクのストローから口を離し、顔をあげた。
「あ…いや…なんでもねぇよ。
(オレの行動に青峰がすんげぇ反応してたけど…
こいつ、やっぱ気付いてなかったか…)」
「えー⁈気になるじゃないですかー!
ちゃんと言ってくださいー!」
「なんだったっけな…」
なんだかすごい含みのある言い方…
それに、虹村先輩、なんか考え込んでるし…
「そんなごまかさなくてもー!
わたしのコト、キライだから
言いたくないんですかー?」
「そんなわけねぇだろ?」
虹村先輩は、
子どもをたしなめるように苦笑いしている。
わたしもそんなわけないって、
わかってはいるけど、
冗談の延長というか…
やっぱりさっきの
虹村先輩のことばが気になるし…
「戻ってきてたコトも教えてくれなかったし…」
「いや、それはなぁ…」
「きーちゃんは知ってたのにー」
「いや、あいつは試合で会ったからな…」
引くに引けなくなって、
だんだん、だだっ子のようになってしまう。
「やっぱりわたしのコト、キライなんだー?」
「そんなわけねぇっつってんだろ!」
「…⁈」
虹村先輩は固く強張った表情で
わたしを見つめていた。