第14章 -虹色の先輩との出会いのお話-
「ごめん…なさい。」
「…‼︎あ…わりぃ。」
虹村先輩の表情が柔らかくなり、
一瞬固まった空気がフッと和らいだ。
「わりぃわりぃ。
すみれが謝ることねぇって。」
「でも…」
さっきの虹村先輩の様子が
やっぱり気になってしまう。
「すみれ、気にしすぎ!
ちょっとオレがムキになっただけだ。」
「あ…いえ、ムキになったのは…」
わたしがだだっ子みたいに
ずっと言ってたから…。
「はぁ…。おまえがオレのコト、
”レインボー”って言ってたのが
気になってただけだって‼︎」
「えーーー⁈なーんだ♪そっかぁ。」
「”なーんだ♪”じゃねぇっつぅの!
人のコト、変なあだ名で呼びやがって。」
虹村先輩が向かいの席から、
ピッと痛くないデコピンをしてきた。
「いったー‼︎ごめんなさーい‼︎
でも‼︎変じゃなくて‼︎
わたしはずっと可愛いと思って、
呼んでたんですよー‼︎」
「あのなぁ…。
おまえ、男に可愛いとか言うなって。」
「きゃっ‼︎いたーい!」
虹村先輩は笑いながら、
何度もわたしにデコピンをしてくる。
「ははっ。おまえ、やっぱ変わってねーよ。
(あん時から、青峰の気持ちも…
オレの気持ちにも気づいてねぇんだろうな…)」
わたしは虹村先輩の想いに気付きもせず、
ただただ虹村先輩に会えて
嬉しいなとか懐かしいなとか、
そんなコトしか考えていなかった。