第14章 -虹色の先輩との出会いのお話-
『すーちゃん、
帝光バスケ部の主将の虹村さんだよ。
試合で観たコトあるでしょ?
4番の人だよー。』
…‼︎
『あ‼︎レインボーさん‼︎』
『あぁん⁈』
『…っ⁈うわぁっ…ごめんなさいっ‼︎』
慌ててお姉ちゃんの後ろに隠れると、
レイ…じゃなかった‼︎
虹村先輩は、声の感じほど
怒ってはいなくて、
呆れたように笑っていた。
『つぅか…妹なのか…』
『はい♡わたしの大好きな妹です♡』
お姉ちゃんがまた
ギューッと抱きついてくる。
『お姉ちゃーーん…くっつきすぎー!』
『あー‼︎虹村さん、もしかして、
わたしと間違えてたんですか⁈』
『…⁈いや…そういうわけじゃ…』
『お…お姉ちゃん…』
お姉ちゃんはわたしにくっついたまま、
核心をついてしまった。
『さつきー‼︎おまえ、
すみれにくっつきすぎ!おら‼︎離れろ‼︎』
『大ちゃんっ‼︎』
お姉ちゃんが核心ついてしまって、
レイ…虹村先輩がまた怒るかなと思って
ヒヤヒヤしていると、
ちょうど大ちゃんが来たので、
その場の空気が変わり、一安心。
『お〜。すー!
制服似合ってんじゃんか♪』
『…っ‼︎(ドキッ…)えっと…』
『青峰くん、当たり前でしょー!
わたしの妹なんだからー♡』
『…っ‼︎(ズキンッ…)』
『あん⁈さつき、うっせぇよ!』
『うるさいのは青峰くんでしょー⁈』
大ちゃんのことばに
ドキドキして答えられないでいると、
お姉ちゃんがまたわたしに抱きついて
話し出し、お姉ちゃんと大ちゃんが
いつもの言い合いをしていた。
でも…
お姉ちゃんが大ちゃんのコトを
”青峰くん”と呼ぶたびに
わたしの心はズキズキしていた。
なんてイヤなコなんだろう…
『…っ⁈』
1人モヤモヤしていると、
視線を感じてハッとして顔をあげると、
虹村先輩と目が合った。
お姉ちゃんと大ちゃんは、
相変わらず言い合いを続けていたけど、
虹村先輩だけは、
なぜだかわからないけど、
わたしを見ていた。
慌てて目をそらすけど、もう遅い。
きっとあの鋭い瞳は、
一瞬のわたしの表情の曇りを捉えていた。
『おーい?青峰ー?』
何か言われると思って身構えていると、
虹村先輩はわたしではなく、
大ちゃんに声を掛けた。
『うおっ⁈虹村さんっ⁈』