第18章 -合宿と合宿-
お風呂から上がって、
しばらくは受験生らしく勉強をしたけど、
ゆりが一度親戚がいる母屋のほうへ行ったので、
わたしも息抜きがてら飲み物を買いに
自販機まで行くと、
ソファのトコに誰かがいるのが見えた。
「虹村先輩っ‼︎」
「すみれ?どーしたんだ?こんな時間に…」
「こんな時間て…まだ21時ですよ?
一応受験生なんで、勉強してたんですー。
でも、喉渇いちゃって…」
「へぇ…エライじゃん♪」
虹村先輩は立ち上がり、笑いながら、
わたしの頭をポンとしてくれる。
虹村先輩は、何の意図もなく、
わたしの頭を触ったんだと思うけど、
急にドキッとしてしまい、
思わず虹村先輩から目をそらしてしまう。
虹村先輩と会うのは、
大ちゃんの試合の日…
大ちゃんとキスをした日以来だからか、
虹村先輩に触れられて、
虹村先輩を"男の人"として意識してしまって、
大ちゃんとのキスまで思い出してしまった。
虹村先輩は、少し淋しそうに微笑むと、
そのまま自販機の前まで行き、
自販機にお金を入れて振り向いた。
「何飲むんだ?」
「え?」
「喉渇いたんだろ?
勉強頑張ってるご褒美に買ってやるよ。」
「でも…いいんですか?」
「いいっつってんだろ(笑)?」
「じゃあ…一番高いヤツ…(笑)?」
「そんな基準で選ぶなよなぁ?
つぅか、全部100円だし。」
奢ってもらうつもりはもちろんなかったけど、
わたしもちょっとふざけて話した。
意識し過ぎ…‼︎
虹村先輩はいつも通りなんだから…。
「じゃあ…コーラで。」
一回頭をスッキリさせよう…
そう思って炭酸を選ぶと、
虹村先輩は自販機のボタンを押して、
わたしにコーラを手渡してくれる。
「青峰も…コーラ、よく飲んでたよな。」
「そうですね。大ちゃん、ジャンキーだから(笑)
いくら、バスケしてるからって、太らないで
あんな筋肉質なのが不思議なんです(笑)」
「…」
「…虹村先輩?」
「オレの好きなもんは覚えてるか…?」
「え…?」
「…オマエだよ。」
「…⁈」
…チュ。
答える間も無く、虹村先輩の唇が、
わたしの唇に触れていた。
…ガタンッ…
わたしはコーラを落としてしまい、
何も言えず、
虹村先輩の前から逃げ出してしまった。