• テキストサイズ

〜蒼い青い片想い〜

第3章 -誕生日-


大ちゃんはわたしの右手首を掴み、
わたしが食べようとしていたケーキを
パクンと口に入れた。


「ん…うまいな。」


わたしはポカンとしてしまい、
それ以上なにも言えなかったのに、
大ちゃんはなんともないかのように、
ケロッとしていた。


そりゃ…小さい頃は
そんなことよくあったけど…。


意識してるのがわたしだけだと思うと、
やっぱり悔しいし、
少しだけ淋しい気もした。



「わたし、お手洗い行ってくるね。」


ケーキを食べ終え、
わたしは大ちゃんに声を掛け、
席を立った。


ショッピングモールのお手洗いは
混んでいて、戻るのが少し
遅くなってしまった。


お店に入ると、なんだか、
わたしたちの席の周りの人たちが、
コソコソ言っているような気がする。


…‼︎‼︎


わたしはやっと気付いてハッとした。





わたしがいないから…



大ちゃんは大きなぬいぐるみと…
2人きりだった。


2人きりという表現は
違うのかもしれないけど…


目つきの悪い…しかも色黒の大男が、
あんなに可愛い大きなぬいぐるみと…
2人きり…。


「ふふっ…」


わたしは思わず笑ってしまった。


ココからじゃ
大ちゃんの表情は見えないけど、
大ちゃんの表情は容易に想像がつく。


わたしはこっそり写メを撮ってから、
笑いを堪えて席へ戻った。


/ 97ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp