第3章 -誕生日-
「ごめんね、お待たせ。」
「〜〜〜〜っ‼︎おせぇっ‼︎」
「ごめんてばー。
お手洗い、混んでたんだもん。」
大ちゃんはいたたまれない…
想像通りの表情をしていた。
「行くぞっ‼︎」
「あ、お会計…」
「もう済んだ‼︎
それはおまえが持てよ?」
大ちゃんはさっきまで2人きりだった
ぬいぐるみを指差すと、足早に店を出た。
よっぽど…
居心地悪かったんだろうな…。
大ちゃんに申し訳ないと思う反面、
大ちゃんが可愛くて思わず笑いたくなる。
写メを撮ったコトは内緒にしよう。
あの写メもプレゼント…ってコトで♪
そのまま家に向かい、
お互いの家の前で、
改めて大ちゃんにお礼を言った。
「今日はありがとう‼︎
コレ、大事にするね‼︎」
「おう…。すみれ…」
「なぁに?」
わたしはぬいぐるみを抱き締めたまま、
大ちゃんを見上げた。
「誕生日…おめでとう…」
「…っ⁈」
そう言った大ちゃんは、
わたしの頭をガシガシとする。
「…つってなかったな…
って、思ったんだよっ‼︎」
「うわっ…大ちゃん‼︎痛い‼︎」
大ちゃんのことばがすごい嬉しい。
見えないけど、
きっと大ちゃんは真っ赤だ。
「あとな…その服…マイちゃんより
すみれのが似合ってる。」
「…っ⁈」
「また後でな。」
大ちゃんはそのまま
わたしの頭をぽふっと軽く叩き、
家に入って行った。
大ちゃんは…やっぱりズルい。
いつもわたしを
ドキドキさせてばかり…。
わたしは大ちゃんが取ってくれた
大きなぬいぐるみを
胸にギューッと抱き締めた。
恥ずかしいのと嬉しいのとで、
わたしの心はポカポカだった。
そのあとはまた大ちゃんと、
何をするわけでもなく、
わたしの部屋で過ごし、
次の日はウチでケーキを食べて、
4日はお姉ちゃんと過ごした。
こうして、
わたしの15才は始まっていった。