第3章 -誕生日-
「なぁ、腹減らね?」
ちょうどお昼の時間だった。
たしかにお腹…すいた。
「うん。そろそろお昼の時間だね。」
「何食いたいんだよ?」
「え…?」
「プレゼント代、浮きまくったからな。
昼飯おごってやるよ。」
「でも…」
あれは大ちゃんだから、
200円なだけなのに…。
「いいから!行くぞ‼︎」
結局大ちゃんのことばに甘え、
わたしたちはショッピングモールの
パスタ屋さんに入った。
「うわぁ…美味しそう‼︎」
パスタ屋さんなのに、
わたしは最初に
デザートのページを見ていた。
「あ、でも、ケーキは明日あるんだった…」
我が家では、毎年5月3日…
わたしとお姉ちゃんの誕生日の真ん中の日に、
ケーキを食べて2人のお祝いをしている。
そのお祝いには昔から、
大ちゃん家族も参加していた。
「好きなもん食えよ。
今日はケーキないんだし。」
「いいのっ⁈」
「あぁ。いいっつってんだろ?」
「ありがとー!大ちゃんっ‼︎」
わたしはランチのケーキセット、
大ちゃんはドリンクだけ付けていた。
パスタを食べ終えると、
ケーキとドリンクが運ばれてきた。
「うわぁ‼︎美味しそうっ‼︎」
「おまえはいちいち嬉しそうだな。」
コーヒーを飲みながら、
大ちゃんが少し呆れたように言う。
「だって嬉しいもん‼︎」
一口食べると口いっぱいに
甘いクリームが広がる。
「やっぱり美味しいっ‼︎」
わたしはもう一口分フォークに取って、
口に運ぼうとしたが、
途中で大ちゃんに声を掛けた。
「あ!大ちゃんも食べる?
こっちの口付けてないほう、
食べていいよ!」
左手で、テーブルの端に置いてある
フォークを取り、
お皿を大ちゃんのほうへ置いた。
「あん?…コレでいい。」
…パクン。
「だ…大ちゃんっ⁈⁈」