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あわい夏の夢

第2章 届かない




「流川くん。」


「ぐーーーー・・・。」


屋上に行くと案の定流川くんは気持ち良さそうに寝ている。
起こすのが申し訳ない気分になるけど、ゆさぶって起こさないと。

「流川くん、流川くん。起きて。」
「ん・・んぅ・・雪さん・・・。」
「あ、起きた?」

眠い目をごしごしと擦りながら虚ろな目でこちらを見る。
またすぐ寝てしまいそうだ。

「雪さん、どうしたんスか」
「どうしたんスか、じゃないわよ。」
「ん??」

まったくもう、とため息をつくと、流川くんは首をかしげる。
流川くんは見た目がいいだけに女子にとても人気だけど、こうして半分寝ぼけているところをみると可愛いと思ってしまう。

「もうすぐ授業始まるんですけど?」
「あ、大丈夫っす」
「大丈夫っすて・・・いつもサボって寝てるんでしょ?」

そう、流川くんは授業という授業ほとんど寝てる。
授業に出ても寝るかたいていサボって屋上で寝ている。
そんな流川くんを心配して小暮くんが私から注意するよう頼まれた。
小暮くんからいったほうがいいんじゃないかと言ったけど、私からの方が流川くんは聞くって小暮くんが言うから
私も授業に出れないのを覚悟して流川くんを説得しにきた。
私と小暮くんは同じクラスで、私が授業にでれなくなったら小暮くんが先生にごまかしておくとかって言ってたけど、大丈夫かなぁ?

「ふぁ・・雪さんこそ、授業でなくて大丈夫なんすか?」

あくびをしながらのっそりと上半身をおこして、あぐらをかく流川くんの横に体育座りで座る。

「大丈夫ではないけど、、流川くんがサボって寝てばっかりって聞いたから心配して来たのよ。」
「・・・バスケと授業は関係ないス」
「あるわよ。」
「え?」
「あんまりにもテストの結果が悪かったら試合に出れないって決まってるの知ってる?」
「し、知らなかった・・・」

うちの高校は赤点4つ取ると部活の試合は出られない。
そういう決まりがある。
私も2年のとき、バスケ部のことばかりしていたら危うく赤点を取りかけ、先生から教えてもらったのだ。
バスマネの私が試合に行けなくてもまだ大丈夫だが、選手の流川くんが出れないとなったら一大事だ。
知らなかったという流川くんは少しびっくりしたのか、目が覚めたようだ。
それと同時に授業始まりのチャイムがなった。
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