第1章 約束
「正直、ちょっとやってみたいかも」
「まじか!じゃあ先生に頼んでみろよ」
「でも、知識も無いし…大丈夫かな」
少し不安で三井くんを見つめるけど、三井くんは嬉しそうに笑ってる。
「知識も大事だけど、お前がやりたいって気持ちのほうが、大切なことだろ?」
「うん、そうだね」
たしかに、知識は少しずつ付けていって、あとは私の気持ち次第。
「やってみようかな、先生に聞いてみてからだけど」
「おう!やれよ、雪ならきっと向いてるし。俺も早く怪我治すからさ」
「うん、あのね、じゃあさ、」
「ん?」
彼にとったら当たり前の夢なのかもしれない、けど、私は三井くんに約束して、と言う。
「必ず全国連れてってね」
「あぁ!当たり前だ!」
私の小指と三井くんの小指を絡ませてゆびきりげんまん。
私はバスケ部のため、というより三井くんのためになりたくてバスマネになりたいと思った。
三井くんとわたしの、三井くんにとったら、当たり前で小さいことかもしれないけど、わたしにとったら大事な約束ができた。
…一章end