第1章 約束
笛がなり、スタートしてみんなボールを追いかける。
三井くんを目で追いかけると、あっという間に三井くんにボールが渡される。するとゴールからだいぶ離れた所から三井くんはジャンプをして、ボールを投げた。
私はあまりにも綺麗なシュートで、孤を描いて飛んでいくボールがスローモーションに見えた。
「すごい!」
思わず小さく声を出してしまうほどに。
私はバスケには詳しくないけど、それほどに三井くんのシュートは綺麗に見えた。
赤木くんも頑張って、激戦が続く。
赤木くんは三井くんよりボール運びが苦手なようだけど、三井くんからボールを奪い取ったりと大活躍。周りからも褒められていた。
ふと三井くんを見ると、なんだか少し落ち込んでいるような…?
イライラしてるようにも見える。
もしかしたら三井くんは赤木くんのことをライバル視し始めてるのかな?
なんだかイライラしているようで、心配になってしまう。
赤木くんが三井くんが持っていたボールを叩き落として、また赤木くんに邪魔された。
眉間にしわをよせる三井くんは明らかにイライラし、焦ってるみたい。
いつもは自信たっぷりで、落ち込んだところを見せない三井くん。
「三井くん、がんばって!」
自分でも無意識に応援のために声が上がってしまった。みんなが試合を一瞬とめてこちらを見る。
はっ!
し、しまった!
「なんだあ?三井の彼女か?」
「やるなあ、MVP」
みんなに冷やかされ、私は違います、彼女なんかじゃないです、と慌てて否定する。
三井くんはびっくりした顔をして固まったけど、その後ろから小暮くんが肩を叩き、三井くんへ頑張ろうぜ、と声をかける。
三井くんは立て直したのか、真剣な顔つきになった。
私のせいで試合をとめてしまったけれど、それはすぐにまた再開される。
「負けねぇ!」
そう三井くんは呟く。
ボールが三井くんに回されると、敵チームがみんな三井くんの壁になる。
三井くんはどんどん抜かしていく。
すごい!すごいよ、三井くん!
赤木くんが目の前に立ちはだかる。
三井くんは怖じけることなく、赤木くんをフェイントして抜かした。
「見たか!」
三井くんは自慢げに笑い、シュートへ…
その瞬間突然三井くんは膝をかかえて倒れた。