• テキストサイズ

あわい夏の夢

第2章 届かない



「ううん、違う。1年の時にそいつもうやめちゃったもん。」
「じゃあなんで続けてるんすか?」
「戻ってくるかなって思って。でも、赤木くんや小暮くんを見てたらね、私でも役にたちたいって思ったの。
流川くんが入る1年前なんて、本当に部員が少なくてね。
それでも頑張ってる赤木くんを見てたら、これは少しでも役に立たなきゃって思って。
今では流川くんも、桜木くんも入って、ますますこれからバスケ部が成長していく時期だもん。
ここでやめるなんてもったいない。はじめは誘われたからだけど、今ここにいるのは私自身の意思。」

普段人のことなんて、気にしなさそうなのにめずらしいなぁと思いながら、
少し自分のことを話すのは恥ずかしいけどせっかくだし話してみた。

「・・・・戻ってくるといいっすね」
「え?」

ぽつりと流川くんが言うから思わず聞き返してしまった。
彼を見てみると、両目をもうつぶって、仰向けになっている。
いつ寝てもおかしくない状態だ。

「その、雪さんがバスケ部に入る理由になったやつ。戻ってくるといいすね。」

これは・・・慰めてくれているんだろうか。ますます珍しい。

「うん、そうだね。」


しばらく無言でいると流川くんの寝息が聞こえてきた。
普段必要なことしか話さないのに、珍しく私に関心を寄せてきた。
気まぐれなんだろうけど、なんだか嬉しくなって頬が緩む。
次の授業になる前にたたき起こして、無理やり授業に行かせてあげよう。
そう思い、私も少し横になって目を瞑った。



━━━━次の日


「永井先輩!リョータが戻ってきたって。」

放課後、アヤちゃんとバスケ部に行く途中で会うとアヤちゃんはリョータくんが退院したことを教えてくれた。

「そうなんだ、退院できてよかった。選抜にも間に合うし・・・。アヤちゃんはリョータ君に会ったの?」
「いえ、まだなんです。今探してて・・それに少し不安で・・・。」

アヤちゃんが困った顔をしている。
不安って何がだろう、、あ、もしかして。
/ 29ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp