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Bloody Signal

第12章 cage 枢√



「どうかした?」

「どうかした? じゃないよ! 何度起こしてもすぐに眠っちゃうから……心配したんだよ」

「え?」

「……お昼誘ったらお弁当食べてるうちに、寝ちゃうし……昼休み終わるよって言うと起きてくれたけど、教室ついたらすぐに寝ちゃうし。今日の珠紀、おかしいよ」

「え……」


 まったく記憶にないんだけど。というか、ナルコレプシーの感覚が極端に短くなり始めている? 理由は?

 ――……理由。

 昨夜のことくらいしか、思い当たる節がなかった。そんな、まさか……ね。


「優姫! 私を夜間部の入れ替えの場に、連れて行って」

「そんな状態で? 途中で倒れたりしても、私……助けてあげられる自信がないんだけど」

「いいの。木にもたれかかって、安全な場所で眺めているだけでいいから」


 会いたい、玖蘭さんに。あの人の顔を見れば、少しは安心できるかもしれない。そんな根拠のない想いを抱いて、優姫に無理を言って入れ替えの場に向かった。


 相変わらずの女子生徒の数。私は優姫に伝えた通り、木陰に入って座りながら遠くでその光景を眺めていた。


「やあやあ女の子達!」

「やめろ英」


 夜間部の人達が徐々に門から出て来る。勿論、玖蘭さんも……。遠くからでも、何故か玖蘭さんと優姫の会話は聞こえてきた。


「おはよう、優姫。今日もお勤めご苦労様」

「いえいえ! 風紀委員として、当然ですから」


 玖蘭さんに笑いかける優姫、優しい眼差しの玖蘭さん。他の人からはどうあの二人は映っているのだろう。私には……まるで心を通わせ合う、恋人同士に見えて……心の奥がちくりと痛かった。

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