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Bloody Signal

第34章 happy ending 千里√



「このステンドグラス、綺麗だよね。天使の絵が本当に綺麗で……」

「そうだね。珠紀は、卒業後の進路は決めてるの?」

「えっと……とりあえず、一人暮らしをしようかなって考えてる。勿論、後々就職はしようと思うけど世界中を旅するのが今の私の夢。そのために、少し勉強したいってところかな」

「そう……」

「千里は? 千里は、卒業後どうするの?」

「俺も一人暮らしする予定。あの家に、いたくないし」


 千里は、隣にいる私の手をそっと握る。


「珠紀にね、もう一つ考えてほしい未来があるんだけど……聞いてくれる?」

「うん、いいよ」


 千里は私の向き合って、何故か少し緊張いている様子で大きく深呼吸した。


「俺はね、珠紀がいなかったらこうして笑うことも泣くことも怒ることも出来なかったかもしれない。珠紀が俺の世界そのものだった。それは……今もそうなんだ」


 彼の言葉は、ゆっくりと私の中へと溶けていく。


「俺の命をかけてでも、守りたいと思えるのは珠紀だけ」


 千里が私の左手を取って、薬指へとキスした。


「ごめん……学生だから、婚約指輪は用意出来なかった。だからこのキスが誓い」

「え……?」


 今度は千里の顔が近付いて、私の唇が彼の唇で塞がれる。甘くて、胸がざわついて……。ぎゅっと苦しくなる。


「愛してる。俺と一生、一緒にいてほしい」

「……っ! は……いっ!!」


 嬉しくて、涙が溢れた。そんな私を千里は笑って抱きしめてくれた。


 過ぎた時は戻すことが出来ない。何度も何度も悔やんでも、あの日には戻れない。帰れない。この世に神様がいないことなんてわかっている……それでもきっと人は願わずにはいられない。

 神様お願いします、と。


 でもね、一番大切なのは自分の手で掴み取る意思を持つこと。ちゃんとこの手は、何かを掴み取ることが出来るはずだから。それは多くはないかもしれない、取りこぼしてばかりかもしれない。

 どうか信じて。

 自分自身を、愛する人の手を。


 私は愛する人と、未来を信じて生きていく。


 幸せは、貴方の手の中に。




 The end of the world.

 thank you.

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