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Bloody Signal

第2章 sleep



「珠紀。気分が悪い時は無理をしてはいけないよ」

「大丈夫ですよ。こういうの……日常茶飯事なので。今日はラッキーでした、玖蘭さんがいてくれたお陰で怪我をしなくて済みましたから」


 そう、これが私の日常。誰がどう異常に思おうと、ナルコレプシーは私の日常だ。怪我をした日は運が悪い、怪我のない日は運がいい。そういう感覚で過ごしてしまって、もう随分経つ。

 こういう感覚は、危ういんだと零が言っていた気がする。でも、私がどう思おうと何かが変わるわけじゃないんだし。なんでも、いいよね。


「こら、珠紀。そういう感覚を持ってしまうのはよくないことだよ」

「どうしてですか……?」

「それは一種の嫌な慣れというものだ。下手に慣れてしまうと、何処までが安全で何処からが危険なのか区別がつかなくなってしまう」


 あ、零と同じこと言ってる……。


「それは、いけないことですか?」

「いけないとまでは言わないよ。でもね、珠紀。自分を大切に想ってくれている人が聞いたら、とても悲しんでしまうよ」

「そうなんですか……? 私をどうしようと、私の勝手じゃないんですか」

「……自分という存在は、実は自分だけで成り立っているように見えてそうじゃない。他人がいてこその、自分だよ」


 玖蘭さんはとても難しいことを、私に教えてくれる人だ。嫌だとは思わないけど、理解は出来ないと思った。それは彼が私の中でまだ知り合い程度だからか、それともまた違う理由のせいか……わからないけど。

 玖蘭さんの腕の中で、抱えられたまま寮の近くまでやってきた。

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