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Bloody Signal

第2章 sleep



「珠紀、よく覚えておいて。君が思っている以上に、きっと周りの人達は君を大切に想っているから。大事にするんだよ、自分を」

「……はい」


 小さく返事をすると、玖蘭さんは女子寮の前で私を降ろした。ようやく足が地に着いて、浮遊感は失われる。ふらついてしまうかと思ったけど、案外平気。ちゃんと立っていられる。


「僕はここまでしか送ってあげられないけど、ちゃんと部屋までいけるかい?」

「はい、大丈夫です。ご迷惑をおかけして、すみません」

「気にしないで。僕がそうしたかっただけだから……また会おうね、珠紀」


 玖蘭さんは私に小さく手を振ると、背を向けて去っていく。彼越しに見た夕陽は、なんだかいつもより綺麗に見えた。ぽかぽかと暖かくて、だけど不思議な感情が私の中に流れ込む。

 これは一体……何だろう?


 部屋に着いた私は疲れたのか、沈む様に眠りについた。深い深い眠りに。私の人生は、大半は眠って過ごしているような気がする。勿体ないと誰かが言っていたけど、自分の意思とは関係ないんだからしょうがない。

 だから意識的に、敢えて起きている時間を自ら減らしていく。私にはきっと、眠っている方が似合っているんだと思うから。

 その方が……嫌なことを思い出さなくて、済むから……。







 また朝が来る。昨日と違って寝起きがいいみたい……自然と目が覚める。

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