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Bloody Signal

第11章 inorganic 枢√



「玖蘭さん……お願いがあります」

「なんだい?」

「私を……理事長のところへ、連れて行って下さい」

「……わかった」


 私をあの病院から連れ出した理事長なら、私の知らない過去をある程度知っているのかもしれない。


 玖蘭さんに支えられて、私はなんとか理事長室へと辿り着いた。軽くノックをして扉を開ければ、私と同じくらい難しい顔をした理事長が疲れた雰囲気を纏いながら顔を上げた。


「珠紀、それに枢君。二人してどうしたのかな? って、珠紀その血は……っ!!」

「大丈夫です。これは私の血じゃ……ないですから」

「えっと……どういうことだい?」


 状況把握のために、今度は玖蘭さんへと理事長は視線を向けた。


「その血は、僕の血です」

「……珠紀、君は……」

「お願いします、理事長。私の知らない過去の私に、一体何があったんですか? 私……私は、気付いた時には……玖蘭さんの首筋に、噛みついて……いました」

「そう……」


 まるでいつかこんな日が来るんじゃないかと、そう予想できるような口ぶり。けれど返事を待つしかなかった。それは玖蘭さんも、同じみたい。


「珠紀……君はね、覚えていないかもしれないけど……いや、覚えていたら今の自分を受け入れられないかもしれない。それくらい……君にとって衝撃的な出来事が起きた」

「話して、もらえますか?」


 理事長は少し困ったように、けれど覚悟を決めた様に深呼吸をして、それから口を開いた。

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